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アメリカでは中絶の是非にかんする議論が盛んです。「中絶賛成派」「中絶反対派」は、それぞれ「選択尊重派 Pro choice」「人命尊重派 Pro life」と呼ばれてきます。
このなんだか抽象的でわかりにくい呼び方は、中絶の是非が、単なるその行為の是非に関する議論ではなく、伝統的なキリスト教的な道徳観と女性の人権との間のせめぎあいである、という背景を考えると理解できます。 とはいえ、呼び方を変えることによって、うまい具合にそれぞれの主張のマイナス面を隠しているんじゃないの、という感じが個人的にはします。つまり、「中絶賛成派」は、「中絶」という言葉に含まれる、人命を絶つという残酷なニュアンスを、「選択」というポジティブな語におきかえることに成功しています。一方、「中絶反対派」は、「反対」という言葉に含まれる、頑固で保守的な人々というニュアンスを、「尊重」というこれまたポジティブな言葉に置き換えることに成功しています。 中絶に関する議論とよく似た文脈では、進化論の是非に関する議論があります。これも、結局のところ、聖書が示すキリスト教の世界観と科学的な生命観とをどのように折り合いをつけるか、と言う論争です。 進化論に反対する人々は、最近は、「知的なデザイン論 Intelligent Design」という考え方を提唱しています。これも、中絶に賛成・反対をうまいこと言い換えたのと同じなのです。つまり、進化論に反対と言うと、非科学的で頑迷な響きがあるのに対し、知的なデザイン、なんて言ってみれば、まさに知的で科学的でカッコよく聞こえるじゃん、ということなのであります。
by oreinUK
| 2007-04-04 04:16
| 英語のはなし
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